NEW ALBUM:OH, CLARA!


The Band
デイヴィッド・ウィットマンのデビュー作「Oh, Clara!」には、 ジェフ・キーザー、ロブ・トーセン、フランシスコ・トーレス、トム・ルアー、トメック・ミエノフスキ、クリス・モントゴメリ、アンドリュー・ニーズリーといった錚々たるアーティストが参加している。ウィットマンと付き合いが長く、ニューヨークで活動するトランペッターのニーズリーが楽曲を書き下ろした。アルバムタイトルは、参加アーティスト8名のうち4名にゆかりのあるウィスコンシン州オークレア(Eau Claire)、そしてウィットマンの娘Claraへのオマージュとなっている。
収録された10曲は、即興性、情熱、そしてジャズの「マジック」がスタジオに溢れていた、ブルーノート、リバーサイド、ヴァーヴ全盛時代を彷彿とさせる仕上がりとなっている。ハリウッドのキャピトルスタジオでの2回のセッションで、ニーズリーの書き下ろした8つの新曲とスタンダード2曲のアレンジが録音された。やわらかさと強さを合わせ持ったニーズリーのチャートが、世界クラスのミュージシャンで成り立つバンドにより見事に演奏されている。ソウルフルでスインギングなチャート、そしてジャズの言語をマスターしたミュージシャンたち。まさに、 "swinging" なのである。ウィットマンと共にリズムセクションを固めるのは、ジェフ・キーザーとロブ・トーセンである。
アルバム全体を通して、ウィットマンのドラムは、古き良き時代のジャズバンドのドラマーさながらに共演者をリードし、土台をしっかり固めることにより「音楽」を前面に押し出すことに成功している。共演者の演奏をサポートするスキルに恵まれているだけでなく、自身にスポットライトが当たる場面では、ジャズの歴史に深く根ざした演奏を見せる(特に、Saint Nicholas Avenueのソロは秀逸である)。手腕、エネルギー、即興性に富み、ジャズの歴史を意識した演奏は、インスピレーションに溢れている。ゆったり、落ち着いて、聴いていただきたい作品である。